テクニシャンです

頑張っていきます

ありがとう

 美化は不可能だが、それは唐突に訪れるものでなかったことは、私の予想に反していた。決壊は段階的に、私の場合は特に年月をかけて、ゆっくりと進んでいった。

 

 理由の欠如は行動の停止にはつながらなかった。無味乾燥とした意味は絶望を止めることはできなかった。美しい記憶として想像される紋切り型の風景。圧倒的すぎるが故にその陳腐さに目を瞑らざるをえない、オレンジの発光と風に戦ぐ透明な流れ。眺めていた。それはつまり、絶え間ない循環に悩まされるようになってからは味わえなくなっていた、終わりの感覚。子供たちの帰路。夜の始まり、安らぎの時。

 

 暗闇は何も隠していなかった。そう知ってしまった。

 

 怯えながらたどる